「はじめまして。えっと…沢田綱吉さん?」
朝、いつものように玄関のドアをツナが開けると、家の前に一人の少女が立っていた。
「ちゃおっス。久しぶりだな」
見知らぬ少女に挨拶をされ、戸惑っていたツナだったがリボーンが何でもないことの様に挨拶をしているのを見て、納得する。
(ああ、また、マフィアかぁ〜)
うんざりしつつも少女を見ると、整った容姿のキレイな少女が自分を笑顔で見つめている。
悪い気はせず、思わず笑顔になってしまう。
「は、はじめまして。えっと…」
言葉を続けようとし、詰まってしまったツナを見て、少女はフワリと優しく微笑んだ。
その表情はあまりにもキレイで、思わず目を奪われる。
「申し遅れました。私はと申します」
そう言って、ゆっくりとツナの前に片膝をついた。
ツナを見上げ、強い瞳で、ハッキリと言う。
「私は、あなたを守る為に、ここに在ります」
「え…」
混乱しているツナを置いて、と名乗った少女はリボーンに目を向ける。
「晴れて私も日本へ来ることができました。今後、何かとお世話になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします」
「おう。が来てくれて心強いぞ」
「ありがとうございます」
先ほどとは違い、照れたような、無邪気な笑顔を見せる。
(リボーンにとって心強い存在か、凄いなあ…あ、さんって、こんな笑い方もするんだ…)
次から次へと起こる目の前の状況で頭がいっぱいになってしまうツナ。
「さあ、学校へ行きましょうか」というの張り切った声で、ようやく我に返る。
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
「はい」
学校へ向かって進もうとしたは、ツナの一声で元の位置へ戻る。
「え?えっと…、さん、も、マフィアの…えーと、ボンゴレファミリーなの?」
「違うぞ」
ツナの疑問に答えたのはリボーンだった。
「は、まだマフィアじゃない」
「まだ?」
「あ、私から説明しましょう」
「いや、いい」
が説明を申し出るが、リボーンに却下されてしまう。
「早く学校にいかねーと、遅刻するからな」
ああ、そうでしたねと納得するに対し、曖昧なまま放置され不満の声を上げるツナ。
一人、先を行くリボーンの背中にツナの制止の声が掛けられるが、それを無視する。
「ほら、急がないと遅刻しちゃいますよ。風紀委員さん怖いんですから」と、がツナに声を掛けている。
はまだ馴染んでいないのか、その言葉は少し堅く聞こえた。
(まだツナには説明してやらねえ。…悔しいからな)
柄にもないことを考えつつも、表情は普段と変わることなく、リボーンは足を速めた。
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