「初めまして。と申します。今まではイタリアにいました」


ざわめく教室内。

「帰国子女だー」という会話が聞こえてくる。

教壇に立ち、礼儀正しく挨拶をしている転校生・

それを見ながら(イタリアから来る人に、ロクな思い出がないんだよなー)とため息をつくツナ。



今朝。

校門を通ると、「それでは、私は職員室へ」と言い残して去ったかと思えば、HRで転校生として教室に入ってきた。


(結局リボーンのやつ、何も言わずにいなくなってるし…)


ツナは自分が全く状況に付いていけていないことが面白くない。


(そういえば、獄寺君ならさんのこと分かるのかな?)


獄寺に目をやると、珍しく姿勢のいいままで前を向いている獄寺がいた。

に見入っている彼のその顔は、どこか嬉しそうだ。

彼女に、特別な感情を抱いているのだと一目で分かる。


(…獄寺君、すぐ顔にでるよね。でも、そっかあ、獄寺君、さんのこと…)


なんだか、微笑ましい気持ちがした。

いつも自分のことを「十代目」と慕ってくれる彼だったが、ファミリーやマフィア意外のことに興味を向けたところをツナは見たことがなかった。

しかし、ふと周りを見ると、に目を奪われている男子は獄寺だけではなかった。

ヒソヒソと、嬉しそうにを歓迎する会話をしている男子もいる。

は、先生に示された一番後ろの席へと歩いていき、座る。

その立ち振る舞いも、どこか優雅でキレイだった。

HRが終わると、男女関係なくの机は囲まれ質問攻めにあう。


「今までイタリアの何処にいたの!?」

「イタリア語とかやっぱりスラスラ話せちゃうの!?」

「何処に引っ越してきたの!?」


「え、えっと、…」


イキオイに圧されながらも、質問に答えようとしているだが、戸惑っているのがよく分かった。


(助けてあげるべきかな…でも、人混みになってるし…仲良くなろうとしてるわけだから、助けるってのも変だよね…)


ツナはツナで戸惑っているうちに、の席へ近付く獄寺が見えた。

普段から目つきの悪い獄寺が、いつもより一層怖い顔をして、の後ろに立った。

それを見たクラスメイトたちは、バラバラとの席から離れた。

頬を染めつつ、名残惜しげに獄寺を見つつ離れる女子も少なくはなかったが…


さん、お久しぶりです」


が振り向くと、そこには明らかに睨んでいるような獄寺の顔がある。


「うわー、獄寺のやつ、怖い顔してんなぁ。転校生が怖がるだろ。なあ?」


いつの間にか、ツナの傍に来ていた山本が話しかけてくる。

の方を見ていたツナは我に返り、「そ、そうだよね」と相槌をうった。


「あ、獄寺君だっ!久しぶりー」


しかし、そんな心配をよそには笑顔で挨拶をしている。


「獄寺君、そんなに堅くならなくてもいいよ」

(緊張してたんだー!)


の一言で、獄寺の顔が緊張の余りのものだと気付くツナ。


「へえ、あいつら知り合いなのか」


獄寺と親しげに話をするを見て、山本も興味を持ち、の席へ近付く。

ツナも駆け足で山本に続いた。








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