「初めまして!えっと…さん、でいいかな?」
私が獄寺君と話していると、沢田さんと、山本武君が来た。
「初めまして、呼び方は何とでも構わないです。私の方こそ、山本君でいいかな?」
そう言うと、山本君(なんだかんだで、もう定着しちゃってる呼び方だ)は、キョトンという顔をした。
…可愛いかも。
「俺のこと知ってんの?」
「もちろん、だって沢田さんのご友人でしょう?将来はファミリー入り確定ですしね」
山本君のことだけではなく、風紀委員の雲雀さん・笹川兄妹・ボヴィーノのランボ君のことまで日本に来る前に、既に調査済みだ。
「そっか!よろしくな!」
にかっと大きな口で笑う山本君。
フレンドリーで優しそう。
「うん、よろしく」
私の顔も、自然と笑みがこぼれた。
「・・・」
山本君は、黙って私の顔を見ている。
なにか、変だったかと不安になる…肌、荒れてるのかな?何か付いちゃってるとか?
うう、第一印象が悪くなるようなことでなければいいけど…。
「最初から思ってたんだけどさ、」
さ、最初から!?私は最初から何かしでかしてた!?
「さんって、笑顔がスゲー綺麗だよな!あ、もちろん、普通にしてても綺麗だけど…」
「…!」
ビックリした、日本の男の子はどちらかと言えばそういう事を口にしないタイプだと思っていたし…
(イタリア男児は、お世辞で簡単に言っちゃうけど…ディーノとか、ディーノとか、ディーノとか…!!)
「あ、ありがとう…」
お礼は言えたが、突然のことだったので照れは隠しきれない。
しかし、山本君は獄寺君に「テメー!!さんに失礼な口をきくんじゃねえ!」とか突っかかられていて、気付いてなさそうだから、良し!
(獄寺君もあんまりお世辞は言わない方だしね…)
「あ、あの、さん?」
傍に立っていた沢田君が声を発する。
なんてこと!沢田さんを放ったまま自分の思考に夢中になってしまうなんて!!
「す、すいません!沢田さん!」
「え、な、何が?
あ、いや、沢田さんなんてそんな、他人行儀じゃなくてもいいよ」
「え、あ、私のことも、もっと普通に呼んで頂いて構いませんので」
「えっと、じゃあ、さん」
「は、はい…えっと、えっと、沢田…君」
わーわー、沢田君とか呼んでしまった!
「あんまり変わってないよ…ま、まあいいや。さん、あの、朝の話の続き、できるかな?」
「あ、はい」
そうか、沢田さ…君は、まだ私のことを知らないんだ。
「ええと、何からお話しましょうか?」
「その必要はないぞ」
私が沢田さ…君に尋ねると、返ってきたのは別の人の声だった。
「は、まだ転校したてだからな。まず皆で校内の案内だ」
「リボーンさん」
いつの間にやら、私の席に座っているリボーンさん。
私の為のご配慮に感動してしまう。
「ありがとうございます!でも、そんな、皆さんの御手を煩わせるなんて…」
「いえ!自分の考えがまず其処まで至らず申し訳ありません!案内させてください!」
やる気満々の獄寺君。
「いいんじゃねー?折角次は自習だし、案内するのも楽しそうだしな!」
親睦を深めようとしてくれてる山本君。
「自習って…え?」
そう呟きながら、黒板を見て顔を青くする沢田さ…君。
黒板には、大きく『自習 byリボ山』と書かれていた。
ああ、日本の学校の御配慮は素晴らしいです。
たった一人の転校生の為に、先生まで…。
「よし、んじゃ早いトコ行くか」
「あ、テメ、待て!勝手に主導権握ってんじゃねえ!」
先頭きって歩き出す山本君と、それに続く獄寺君。
仲良きことは美しきかな、うん。
私達は教室を後にした。
「え、また説明なし…?いつまで引っ張るのさ…」
と呟くツナの言葉は、誰の耳にも届かない。
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