応接室から出て、廊下を歩く。
職員室や医務室等とは正反対の方向へ進むリボーンにツナが声を掛ける。
「リボーン、こっちって案内する所あるっけ?」
「ボクシング部だ」
「そこって、校内案内する必要ないよな!?お前、さんの顔見せして回ってるだけだろ!?」
「今頃気付いたのか、ダメツナだな」
はあ、とため息をつくツナの横にが並ぶ。
彼女の顔が近付き、ツナは思わず頬を染めた。
「沢田君、大丈夫ですよ。実は私、この学校の見取り図はもう把握しているんです」
「え、あ…」
「お気遣い、ありがとうございますね」
「い、いや、別に、そんな」
そこまでのことを気遣ってリボーンに意見したわけでもなかったので、予想外の感謝に対して、しどろもどろになってしまう。
しかし、悪い気はしなかったので訂正はせずにおいた。
「しっかし、あの芝生頭に顔見せなんてしたって、意味ないんじゃねーっすか?どーせすぐ忘れるっすよ」
「あのね、私が会ってみたいから行くんだけど…。ごめんね、付き合ってもらっちゃって」
グチグチとこぼす獄寺に、が声をかける。
「あ、いえ、そんなこと全然ないっすよ!す、すいません!」
「そんなそんな、ありがとう」
「ははは、獄寺顔赤くなってんぞ」
「う、うるせえ!」
賑やかにはしゃいでいると、いつの間にかボクシング部部室の前に着いていた。
室内からは、ドーンという重低音や「極限」という言葉が時折聞こえてくる。
「俺たち以外のクラスって今普通に授業時間なんだけどな」
「あ、相変わらずだなあ」
いつものあの熱を思い出し、ツナが足を止める。
「お邪魔します」
しかし、それに構わずはドアを開けた。
それを迎えたのは、まさに極限な大声だった。
「入部希望者か!!?」
「あ、すいません、私…」
「マネージャーか!?マネージャーも大歓迎だぞ!」
「あ、いえ…」
に熱く語りかけるのは、笹川了平その人だ。
は、彼の言葉の境をなんとか見つけ、言葉を発した。
「あの、私、今日転校してきたと申します。笹川了平さんとは、今後何かとお付き合いもあると思いますのでご挨拶に伺いました」
「む?転校生だと?」
「はい。あの、一応、沢田君の婚約者を名乗らせて頂いております」
・・・
・・・
「そうなのか!?なるほど!よろしく頼む!」
「はい。よろしくお願いします」
は了平との挨拶を終え、ツナたちの方を振り返る。
そこには、ポカンと口を開けたツナが佇んでいた。
山本もひどく驚いているようだ。
「あ、の、リボーンさん、沢田君に説明は…?」
「放っといていいぞ」
「…いやいやいや!ちゃんと説明しろよ!おい!リボーン!!」
我に返ったツナがリボーンに詰め寄る。
その背後で、了平はボクシングの自主練習に戻っていた。
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